うつ病の厄介さは「メタ認知能力」が低下すること
私は鬱病になって、色んな症状が出ました。不安感、絶望感、身体的な不調。様々な症状が出てきては、苦しい思いをしていきました。
そんな色々な症状の中で、厄介なものの一つとして「メタ認知能力」が低下することだと思っています。
今回は「メタ認知能力」とは何なのか、私自身どのように能力が低下していたのかご紹介したいと思います。
メタ認知とは何か?

メタ認知とは、「自分の思考や感情を一歩引いて見つめる力」のことを指します。
たとえば、「いま自分はイライラしているな」「ちょっと考えすぎているかもしれない」と、自分の内面の動きに気づける力がメタ認知です。もっと噛み砕いて言うと、「自分を客観視する力」や「心の中の自分に気づく力」という感じでしょうか。
この力があると、ネガティブな感情や不安に飲み込まれたとしても、「あ、いま不安になっているだけだ」「全部がダメなわけじゃない」と、気持ちを立て直しやすくなるんですね。
しかし、このメタ認知能力がうまく働かないと、思考と感情の渦の中に巻き込まれてしまい、冷静さを失ってしまうことがあります。
なぜうつ病でメタ認知が低下するのか

うつ病になると、多くの人が「自分自身を見つめる余裕」をなくすと言われています。脳のエネルギーや注意力が極端に落ち、日常生活を送るだけでも精一杯になるんですね。私自身も躁でした。
また、うつ病では「自動思考」と呼ばれるネガティブな考えが次々に浮かびやすくなります。
「自分はダメだ」「何をやっても意味がない」「この先うまくいくはずがない」
こういった思考が無意識のうちに頭を支配し、しかもそのことに自分では気づきにくくなります。
本来であれば「その考え、ちょっと極端じゃない?」とツッコミを入れられるのがメタ認知ですが、うつ状態にあるとその視点を持つことが難しくなり、「思考=現実」のように感じてしまうのです。
その結果、自分を責めたり、視野が狭くなったり、さらに落ち込む――という悪循環に陥っていきます。
私自身のメタ認知低下の体験談

うつ病になってから、私の中で何がどう悪くなっているのか、正直よくわからない時期が続きました。特に厄介だったのが、「自分の考え方や感情の動き」に気づけなくなっていたことです。つまり、メタ認知の力が落ちていたのだと思います。
たとえば、職場の人たちと話しているときに、「あの人は、私が“うつ病の人”だから距離を置いているんじゃないか」「自分のことをやっかいな存在だと思っているんじゃないか」――そんなふうに感じてしまうことがよくありました。
今思えば、それが事実かどうかを冷静に確認したり、「ただの思い込みかもしれない」と考える余裕がなかったんだと思います。感情と事実を切り分ける視点を持てなくなっていたのです。
また、自分の能力に対する評価も極端に低くなっていました。「どうせ自分には無理だ」「自分はダメな人間だ」と感じ、何をしてもうまくいかないと思い込んでいました。
加えて、仕事のキャリアに対して強い焦りを抱えていたことにも、当時はまったく気づけていませんでした。焦っていたのに、それを「焦り」と認識できず、劣等感を埋めるために「もっと頑張らないと」「周りに追いつかないと」と、必死で勉強を詰め込んでいました。一見、向上心のある行動に見えたかもしれませんが、実際は“がむしゃら”で“無自覚なオーバーワーク”でした。気づけば心も体も限界を超え、うつ症状がさらに悪化していったのです。
もしあのとき、「いま自分は焦っているかもしれない」「無理をしているかもしれない」と、自分を客観視できていたら、もう少し違う対応ができたのかもしれません。
回復に向けて私が試したこと・効果があったこと

メタ認知の低下によって、自分を冷静に見つめることが難しくなっていた私ですが、いくつかの取り組みを通じて、少しずつ「自分を客観視する力」が戻ってきたように思います。
まず、私にとって大きな効果があったのは「認知行動療法(CBT)」です。
通っていたリワーク支援の中で、スタッフの方と一緒に「自分の思い込み」や「上手くいかないこと」に向き合いながら、少しずつ考え方のクセを見直していきました。「本当にそうなのか?」「別の見方はないか?」といった問いかけを重ねていくうちに、白か黒かで決めつけるような思考から抜け出せるようになってきました。誰かと一緒に進めることで、自分だけでは気づけなかった視点に触れられたのが大きかったです。
また、自宅ではマインドマップを使って気持ちを書き出すこともよくやっていました。
思いつくままに、自分の感情や考えをマインドマップ形式でどんどん書き出していくと、「あ、自分はこんなことを感じていたんだな」と気づけたり、「不安の根っこってここだったのか」と見えてきたりすることがあります。頭の中だけで考えているとグルグルしてしまいますが、紙に書いて視覚化することで、自然と自分を俯瞰できるようになるんです。手軽にできて、しかも感情の整理に役立つのでおすすめです。
さらに、私が意識的に取り組んだのが、信頼できる人に「自分がどう見えているか」を聞いてみることでした。
完全に客観視することは難しいからこそ、自分が信頼できる相手に「最近の自分ってどう見える?」「焦ってるように見える?」などと聞くことで、自分では見えにくい部分を補うことができました。他人の視点を借りることで、自分が思っているよりもちゃんと頑張れていたり、意外と周りからは冷静に見えていたりすることもわかって、自分への評価が少しやわらかくなった気がします。
いかがだったでしょうか。今でも、体調が悪くなるとメタ認知能力が低下していることを感じます。しかし、低下していることを実感できているので、不調の察知も早くなり体調改善を優先するう動きが早くなったと思います。
ぜひ、メンタル疾患の回復とともに、メタ認知能力を鍛える行動をしてみてください。
まとめ
- うつ病では「自分を客観視する力=メタ認知能力」が低下しやすくなる。
- 思い込みや焦りに気づけないまま、さらに症状が悪化することもある。
- 認知行動療法やマインドマップ、他者の視点がメタ認知回復に効果的だった。


